遺留金品は、報酬を受領後、ケースワーカーに返還しましょう。

成年後見を受けていた単身の被保護者が死亡した場合、ケースワーカーより遺留金品の引渡しを求められ、報酬受領において後見人等が不利益を被ることがあります。

【私の事例】
実際、預貯金を直葬費用に充てた後、報酬の未受領が発生しました。その後、回収のため葬儀会社から当該費用を一旦払い戻してもらい、払戻金から未受領分を差引き、差引分を保護課と交渉後、葬祭扶助を適用し当該費用を払いました。

年後見人報酬は、共益の費用の先取特権です。すべての債権者に対して優先します遺留金品は、報酬を受領後、ケースワーカーに返還しましょう。

生活保護法 第七十六条
(遺留金品の処分)
第七十六条 第十八条第二項の規定により葬祭扶助を行う場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
2 都道府県又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する

東京都生活保護運用事例集(抄)
(問6-89-2)単身者に対する葬祭扶助の適用(成年被後見人の場合)
 成年後見を受けていた単身の被保護者が死亡し、遺留金品がある場合には、後見人報酬と葬祭扶助のどちらが優先されるか
答 成年後見人報酬は被成年後見人の財産に係る共益の費用とみなされる。民法第329条第2項但書により、共益の費用は特別の先取特権も含む全ての債権に優先する旨が規定されている
遺留金品に対して生活保護法に根拠を置く葬祭扶助に係る特別の先取特権と成年後見人報酬が競合した場合は成年後見人報酬の先取特権が優先される
したがって、成年後見を受けていた被保護者が死亡した場合には、遺留金品から成年後見人報酬の支払がされた後に、葬祭扶助費用に充てることになる

第三節 先取特権の順位
(一般の先取特権の順位)
第三百二十九条 一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。
2 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先するただし共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する

2025年05月26日